アトピー奮闘記
第4回 疑いようのない食物アレルギー
三男が確か6ヶ月くらいになった忘れもしないある日、私が出張先の大学より、たまたま電話を入れると、家内の悲壮な声が飛び込んできました。三男がピーナッツバターをつけたパンを食べた後、全身真っ赤になったというのです。急いで帰ってみると、だれの目にも彼の皮膚の状態は著明に悪化していました。アトピー性皮膚炎の悪化の上に、ひどい蕁麻疹が重なっており、全身赤く腫れあがり、見るも無残な状態でした。ことここに至って、私もようやく彼の皮疹がアトピー性皮膚炎であることを認めました。その日は、ほとんど見えなくなった細い血管に、やっとの思いで針を刺し、強ミノの注射をしました。命があっただけでも良かったと、ほっと胸をなでおろしました。早速、翌日、初めて血液のアレルギー検査、すなはちIgEを調べてみました。その結果、卵、牛乳、ピーナッツに陽性を認め、家内の前、私は完全な敗北宣言をしたのでした。教科書に書いてある、「アトピー性皮膚炎の診断に血液中のIgEは当てにならない。また乳児期にはアレルギーがあっても、血中のIgEは上昇しないことが多い。」ということを、金科玉条の如く振りかざして、小児科医でありながら、我が子にアレルギー検査一つしてやらなかったことに、深い懺悔の気持ちを抱きました。