院長からのメッセージ
舌下免疫療法への思い
この度、ダニに続いて、スギ花粉の舌下免疫療法の年齢制限が撤廃されました。
数あるアレルギーの中で、ダニとスギ花粉については、幼児期から健康保険を使って、根治療法ができるようになったということです。
画期的なことだと思います。
私が舌下免疫療法と初めて出会ったのは、今から18年前の西暦2000年、三男の食物アレルギーの根治を求めて2度目の渡米をした時のことでした。アトピー奮闘記参照。
アメリカ合衆国ダラスのレイ先生 、バッファローのパテル先生は、皮内注射あるいは舌下免疫療法によって、食物だけではなくありとあらゆるアレルギー、さらに化学物質過敏症の根治をも目指していました。
体に有害なもの、あるいはそれ自体は悪くなくとも有害な反応を起こすものは、原則として身の回りから除くことが原則です。
しかし、日本に住んでいる限り、ダニもスギ花粉も除くことは不可能です。
どうしても除けないものは、慣れるより仕方がないのです。
慣れるには、そのものと仲良くなるしかありません。
それが免疫療法です。いわゆるホメオパシーの考え方です。
症状を起こしてしまうものは、その人にとっては「毒」となります。
その「毒」をどんどん無限大に薄めていくと「水」になります。
その「毒」と「水」の間のどこかに「薬」となる濃度があるのです。
そしてその「薬」の濃度で刺激し続けると、いつしかその「毒」に慣れて症状を起こさなくなるのです。
予防接種と似ていますね。
舌下免疫療法の優れたところは、注射ではないため痛くなく、自宅で手軽に行えるということです。
アメリカから帰国した後、自分の診療所でもこの免疫療法をしたかったのですが、あきらめざるを得ませんでした。
その理由の一つが、健康保険が使えないので全くの自由診療となり高額となること、二つ目がアレルゲンのエキスの調達、調整、管理が大変手間のかかるものであることでした。
この度、ダニとスギ花粉に対してだけですが、この問題点が解決されました。
この日が来るのを待っていました。
繰り返しますが免疫療法は根治療法であり、今までの対症療法を中心とする治療とは全く異なる画期的な治療法です。
舌下ですから、口に入れてすぐに飲み込んでしまえばダメで、舌の下にしばらく保持しないといけません。
それができるようになるのは、大体5歳くらいからですが、4歳でも3歳でも正しくできればOKです。
実際、4歳でダニの舌下療法を始めた人も数名あります。
ダニとスギ花粉のアレルギーでお困りの方は、是非、舌下免疫療法を始めてみませんか。
私も、皆さんを悩ませるアレルギーの根治のお手伝いができることに、大きなやりがいを感じています。
次はイネや雑草の花粉、カビ、動物の毛、そして食物の舌下免疫療法が、健康保険を使ってできるようになることを心待ちにしています。