アレルギー編

じんましん ~呼吸困難、腹痛、ショックに注意を~

じんましんとは?

じんましんは、突然皮膚にできる痒みを伴う赤い(時には白い)蚊にかまれたようなふくらみのことです。大きさは様々ですが、掻くとどんどん広がります。ふつう、数時間もすれば消えていきますが、違う部分からまた新たなものが出てきたりします。目の中や唇にできることもあり、夏に発症することが多い傾向があります。

 

じんましんの起るメカニズム

じんましんは皮膚や粘膜のやや深い部分にできる水ぶくれで、血管の中を流れている血液の液体成分が血管の外にあふれ出てくるためにおこります。ではどうして血管の中から液体があふれ出るのでしょうか?目には見えませんが、血管には小さい穴がたくさんあいています。この穴が何らかの原因で大きくなると、穴より大きな赤血球や白血球は漏れませんが、血液の液体成分は漏れて血管の外に出てきます。この血管の穴を大きくするものはいくつか知られていますが、ヒスタミンという物質が最も有名です。ヒスタミンはまた、神経を刺激して痒みを起こします。じんましんは、このヒスタミンかあるいはそれに似た物質によって起こされていることがほとんどです。ヒスタミンは体の中では、主に肥満細胞(白血球の一種)の中に蓄えられており、アレルギー反応の結果として肥満細胞から出てくる場合とそうでない場合があります。アレルギー反応による場合は、原因となる抗原(食物やダニなど)に対するIgE(免疫グロブリンE)と呼ばれる抗体が、まず肥満細胞にくっつき、そこに抗原がさらにくっつくと(肥満細胞、IgE抗体、抗原がつながると)、肥満細胞がヒスタミンを放出します。アレルギー反応によらない場合は、物理的刺激などその他の原因で肥満細胞がヒスタミンを放出します。

 

危険なじんましん

最も危険なものは喉頭浮腫といって、気管の入り口の粘膜が腫れるタイプです。急に起ると、一気に窒息してしまうこともあります。気管支の粘膜が腫れると喘息の症状が出ます。また、腸の粘膜が腫れると下痢、腹痛、嘔吐などの腹部の症状が出ます。これらの症状が出た場合は、じんましんが体の内部の粘膜にも出ているというしるしです。その程度が強い場合には、血液の成分がたくさん血管外に漏れ出ており、循環している血液量が減りショック状態(アナフィラキシー)となる場合があります。これらは非常に危険な状態ですので一刻の猶予もありません。

 

じんましんの原因を探してみましょう

食物では、卵、牛乳、チーズ、エビ、カニ、貝、サバなどの背の青い魚、そば、チョコレート、ナッツ類などがアレルギー性のじんましんを起こしやすいといわれています。合成着色料、保存料などの食品添加物も原因となり、盲点となることがあります。タケノコレンコンなどは仮性アレルゲンといって、ヒスタミンやコリンといった、直接じんましんを起こす物質そのものを含んでいるため、アレルギー反応によらずにじんましんを起こします。他に日光、熱、汗、寒冷、運動、精神的ストレス、動物の毛、昆虫、金属、化学物質、薬、物理的刺激(引っかく、圧迫、接触など)、細菌やウイルス感染など、ありとあらゆるものがじんましんの原因となります。急性のじんましんは原因があってから、1時間以内に出ることが多いので、その直前に何を食べたか、何をしたか、何をさわったか、どこに行ったかなどを考えると原因に思い当たることがあります。2回、3回とくり返し起ってきたら、それがもっと確信できます。しかし、残念ながら原因がわからないことが大半です。また、同じ原因があっても、必ずしも毎回じんましんが出るとは限りません。体調の悪い時、特に下痢をしているときなどに出やすくなります。原因不明の慢性じんましんの一部は、自分自身の体のどこかの部分に対して、アレルギー反応をおこしているのではないかと考えられています。

 

じんましんの検査

最も手軽で一般的なのは血液検査で特定のものに対するIgE抗体を調べる検査です。これが高いものはじんましんの原因である可能性が高くなります。ヒスタミン遊離テストは少し進めて、原因のものが本当に肥満細胞からヒスタミンを出すかどうかを血液を培養して調べるものです。皮内注射によるテストはさらに進んで、直接皮膚に疑わしいものを入れて、じんましんが出るかどうかを確かめる検査です。皮膚をボールペンの頭などでこするとみみずばれができることを皮膚描記症といい、機械的じんましんの診断となります。コリン性じんましんと呼ばれるものは、大きさが粟粒~米粒くらいの赤い特殊なじんましんで、汗をかく程度の運動をさせると出てきます。1ヶ月以上長びいたり、繰り返す慢性じんましんの場合は、肝機能や血沈、CRPなどの炎症反応を調べて、慢性の感染症や膠原病などが隠れていないかどうかチェックします。

じんましんの治療

もし、原因がわかりましたら、再発を防ぐために可能な限りそれを避けることです。軽いじんましんは抗アレルギー剤抗ヒスタミン剤の内服で消えます。眠くなることがありますが、数日間のんだ方がよいでしょう。最近開発されたものは、眠気が少なくなっています。ひどいじんましんは強力ネオミノファーゲンシー(強ミノ)やステロイドの注射をします。上で述べたように危険なじんましんの場合は直ちに、点滴で水分を補給し、ボスミン、ステロイドなどの注射をします。(最近、アナフィラキシーを起こしてしまった場合の緊急処置として、エピネフリンの自己注射(エピペン)が日本でも使用可能となりました。)痒い時はできるだけ掻かないで、冷やすなどして我慢してください。温まるとじんましんはひどくなります。子どもの場合は、多くは自然に起こらなくなりますので、特に原因が見当たらなくてもあまり心配いりません。

コンテンツ

角丸

アクセスカウンター

  • 2360358総閲覧数:
  • 231今日の閲覧数:
  • 430昨日の閲覧数:

Copyright(C) 2014. YAMATE CLINIC.Allrights Reserved.